Metalenz社のレンズの登場で、スマホはもっとスタイリッシュになる?

テクノロジー

最近Metalenzという会社を知りました。

このMetalenzという会社ではメタサーフェスという技術を用いたレンズを開発、資金調達にも成功し2021年末までに生産を開始するという話題でした。

このMetalenz社のテクノロジーとこれに対する自分の意見を記事にまとめました。

今後の投資を考える上での参考になればと思っています。

Metalenz社の開発したレンズとは?

Metalenz(メタレンズ)社は、ハーバード大学発のベンチャー企業でロバート・デブリンという方が2017年に設立したようです。

この会社で開発している技術は、メタ・サーフェスという技術に基づくレンズで、誤解を恐れず簡単に一言で言うと、従来のレンズよりも小型で高性能なレンズを実現できるものなのだとか。

いろいろな記事を読んでわかったのは、私たちが普段使っているようなカメラのレンズとしてというよりは、別のレンズとしての応用が期待(?)されているみたいです。

Face IDなどに使われる3Dセンサー用のレンズに使われると、カメラモジュールの小型化だけではなく、消費電力の低減にも役に立つのだとか。

例えばですが、iPhoneに実装されれば、電池の持ちもよくなりノッチが更に小さくなることが期待できるということでしょうかね。

メタ・サーフェスはメタマテリアルの一種?

メタ・サーフェスは、以前記事にしたメタマテリアルの一種として分類する場合もあるそうですが、基本は明確に区別されるそうです。

私は素人なので、製造するうえでの技術面や性能の大局的な特徴から考えて、同種の技術と捉えています(専門家の皆さんごめんなさい)。

メタ・サーフェスも微細加工技術を応用して作られるみたい

Metalenz社が開発しているレンズは、髪の毛の1000分の一以下くらいの小さな筒の集まりで形作られているのだそうです。

以下で紹介するTechcrunchの記事の表現を使うと「ナノメートルのコーラの缶」の集まりになります。

(恐らく)このコーラの缶、1本1本が光を伝える役割を担うわけです。「肝」は、そのコーラの缶の大きさとか配置を細かく制御することで、一枚のレンズとしての役割を持たせるというところなんですよね。

もともとは蛾の複眼からヒントを得たのだそうですが、こういうテクノロジーって結構あるんですよね。ある機能を持ったものを並べることで、全く違うあるいは一つでは成し遂げられないような高性能な機能を実現するという技術。

例えば、マイクロフォンアレイや広大な敷地に並んだ電波望遠鏡なんかも、同じようなものだと私は捉えています。スケールは全然違いますけどね。

こういう技術が段々身近になってきているのかもしれませんね。(↑はまったくの素人イメージです(笑))

話をメタ・サーフェスに戻すと、この技術は従来の微細加工技術があれば、形自体はすぐに実現できてしまうわけです。

問題は意図したとおり機能させるためのデザインということになるのではないでしょうか?今回、Metalenz社はデザイン部分のノウハウを十分に蓄積し、実用化に耐えうる技術を確立できたということでの資金調達みたいですよ。

↑で書いたとおり、微細加工技術自体は既にあるものをそのまま流用できるので、資金と現在の半導体製造ラインがあればすぐにできてしまう・・というわけなんです。(Metalenz社が量産しようとしているのはレンズで、ベースとなる材料はSiO2でしょうから、半導体ラインで一番嫌がられる「汚染」も気にしなくていいんでしょうね)

Metalenz社やメタ・サーフェスに関しては専門サイトをどうぞ(笑)

Metalenz社については、いろいろなサイトで解説記事が掲載されています。

専門サイトの方がイラスト付きで分かりやすく、なおかつ信頼がおける(^^;ので、そちらへのリンクを張っておきたいと思います。

最初は私がMetalenz社を知るきっかけになったGigazineの記事。

Metalenz社が1,000万ドルもの資金を調達し、2021年末までに生産を開始するというニュースに関するサラっとした記事になっています。

たった1枚のレンズで従来のスマートフォン向けカメラレンズを超える光学性能を実現した「Metalenz」とは? - GIGAZINE

Metalenz社の技術を使うことで従来のレンズがどうなることが想定されるのか分かりやすいイラスト付きで解説しているのが、Techcrunchの記事。Metalenz社やメタサーフェスという技術についてもう少し知りたいという方はこちらが参考になると思います。

TechCrunch
TechCrunch | Reporting on the business of technology, startups, venture capital funding, and Silicon Valley

開発したのはアメリカのベンチャー企業:アメリカのテクノロジー株には更に期待が膨らむ?

上述したとおり、Metalenz社はハーバード大学発のベンチャー企業です。

つまりはアメリカの企業なので、他国の企業と組むよりも先にアメリカ国内の企業との提携の方が先に進むと考えるのが普通ではないでしょうか?そう考えると、アメリカ株への将来的な影響も期待できるかもしれません。

現在、レンズを使用するデバイスは私たちが一般的に想像するカメラだけではありません。3Dセンサーやレーザー機器といったデバイスにもレンズは使われています。

3Dセンサーとして一番身近なのは、iPhoneやiPadなどにも搭載されているLiDARですかね。LiDARの小型化・高性能化が進めばこれまででは考えられなかった高い精度でのARアプリが実現できる可能性があります。

また、半導体の製造ラインでレンズが作られるということは、大量生産が可能になるということ。これに加え小型化が進めば歩留まりが良くなり、価格が下がって入手しやすくなります。

そうすると、一つのデバイスに複数のカメラを搭載できるようになったり、安価になることも期待ができるわけです。

スマホだけではなく3Dセンサーは自動運転技術とも関連があるので、自動車業界にも影響を与えそう。

またいわゆるIoTデバイスの高性能化も考えられます。

このように様々なハイテク分野への影響が考えられ、その分野の成長にも期待が膨らみます。

コモディティ化もしやすいのではないかと懸念

一方で、この技術は冒頭で書いたとおり既存の「微細加工技術」があれば、できてしまう代物です。基本的には。(誤解を恐れず表現すると、装置があればできてしまう分野なんですよね。微細加工の分野って。)

勿論、デザインには相当なノウハウというか、研究の成果が詰まっていることは間違いありません。

とはいえ、現在のリバースエンジニアリングの知識と技術があれば、すぐに解析されてしまうでしょう。

解析して特許侵害をしてまで同じ製品を作らなくても、世界中の国で作られるようになればすぐにコモディティ化するはずなので、この技術がアメリカのハイテク企業だけのモノにはならないとも言えますね。

特に世界の半導体工場を担っているような国でMetalenz社の製品が作られるようになると、アメリカではなく、そういう国の発展に寄与してしまうのではないかと思います。

そういう観点で考えると、やっぱりインデックス投資をするにしても全世界株の方が安心できるのかもしれないなぁと思ってしまいますね(笑)

メタ・サーフェスを応用したレンズは、テクノロジーとして期待しています!

いずれにしてもMetalenz社のこの技術には期待をしています。

私的にはカメラの性能向上よりも、3Dスキャナやレーザーデバイスの性能向上に影響を及ぼすことに期待大です。

DVDなどのピックアップレーザーとして使われる面発光レーザーのブレークスルーに寄与しないかなぁなんて素人ながらに夢見ています。(あり得るのかな?)

恐らく現段階では↑でも書いたようにSiO2のみを素材に使っていると思うのですが、その他の酸化物を用いたレンズとかにも応用したら何か面白いことにならないかな?

電気/磁気系の強物性材料や弱いながらも電機磁気効果を持つ材料でレンズを作って、電気的にレンズの性質をコントロールできるレンズにできないかな?とかいろいろと夢見ています。(←それらの物性をきちんと発現できるだけの結晶構造を作るのが大変でしょうけど(笑))

何はともあれ、いろいろと期待ができるMetalenz社とメタ・サーフェスを応用したレンズの進展については今後もウォッチしていきたいと思います。

まとめ

Metalenz社が開発しているレンズと今後の展開に関する自分の意見をまとめました。

素人なりに想像してもいろいろと夢の持てる技術だなぁと思っています。

研究に取り組んでいる皆さんは、もっと先の応用を具体的にイメージされているとは思いますが、その目標を是非形にしてもらいたいと思っています。

一投資家(?)としては、ハイテク分野の成長はまだまだ続きそうだなと思えてなりません。

「レンズ」とだけ聞くと、パっとしないのですが、実はいろんな分野に使われているうえ、これまでは大昔から使われているようなレンズが主流だっただけにブレークスルーが期待できる分野だと思います。

Metalenz社だけではなく、メタ・サーフェスをキーワードにニュースをウォッチしていくと企業の動向も読めるのではないかと思えてなりません。

新しい情報が入りましたら、また記事にしたいと思います。

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