ベトナムのモータリゼーション化ってどうなってるのく?

ベトナム

先日ベトナムにおける5月の自動車販売台数に関する記事を読みました。

その記事によると4月に比べ落ち込んでいたものの、前年同月比では自動車販売台数が伸びていたので、非常に驚きました。

肌感覚でもベトナムの自動車の数は増えていると思っていましたが、実際に販売台数に現れていることを知ったわけです。

そこで、今回はベトナムにおけるモータリゼーション化に注目してみました。

2021年1~5月のベトナムにおける自動車販売台数の記事に注目

昔から私がお世話になっているベトナムのニュースサイト、Viet-joに2021年5月のベトナムにおける自動車販売台数の記事が掲載されていました。

5月新車販売台数、前年同月比+34%増 1〜5月期+53%増[統計]
 ベトナム自動車工業会(VAMA)の発表によると、5月におけるVAMA加盟企業とVAMA非加盟企業を合わせた新車販売台数(TCモーターおよびビンファスト=Vi...

この記事の内容を読む限り、Viet-jo編集部がベトナム自動車工業会(VAMA:Vietnam Automobile Manufacturers Association)の発表を記事にまとめたようです。

この記事によると、ベトナムの5月の自動車販売台数は前年同月比で34%増になっていて、2021年1~5月の自動車販売台数で見てみると前年同期比53%増になっているというのです。

5月単月で見ると偏ったデータになると思いましたので、1~5月のデータを抜き出してまとめ直してみました。それが、次の表です。

この表を見ていただくと、まず真っ先にわかるのが日系メーカーが多く入っているという点でしょうか。1位のチュオンハイ社も実のところマツダの車種を生産しているので、それを合わせるとけっこなシェアだということが分かります。

ベトナムというと、ものすごい数のバイクが道路を埋め尽くしているという映像をご覧になったことがある方も多いかと思います。

確かにいまでも多くのベトナム人はバイクを主たる交通手段として利用しているわけですが、ここ数年(?)、自動車の数が急激に増えてきたのは確かなんです。

私は2019年末にベトナムから帰国しました。2019年時点でもその数年前に比べて自動車の数は明らかに増えていて、自動車の増加に伴う渋滞も大きな問題になっていました。

自動車を前提とした都市計画の進展よりも、モータリゼーション化が速かったということなんだと思います。

いまの状況はフォローできていないのですが、ハノイでは市内への自動車の乗り入れ制限に関する法案も出ていて話題になっていました。・・あれ、どうなんたんでしょうかね・・。

それくらい、自動車の数が増えているベトナムですが、これはいわゆるモータリゼーション化が進んでいるという現象なんですよね。

モータリゼーション化って何?

私もベトナムにいる時に、「モータリゼーション」という単語を知りました。

その時聞いたのは「一人当たりのGDPが$ 3,000を超えるとモータリゼーション化が進む」ということ。

実はきちんとした形でこの「モータリゼーション」という単語を調べたことがありませんでした。今回いい機会だと思いGoogleで検索したところ、りそな銀行が公開している「エマージングにとって一人当たりGDP3,000ドルの壁~タイの教訓~」という資料を見つけることができました。

この資料は2009年の資料で少し古いのですが、資料中でモータリゼーションに関していろいろとかかれていましたので、ご紹介したいと思います。

詳細については以下でリンクを貼っておきますので、ご興味のある方はご覧いただければと思います。(以下のページの「エマージングにとって一人当たりGDP3,000ドルの壁~タイの教訓~」が当該レポートになります)

エコノミスト・ストラテジスト・レポート│企業年金のお客さま│りそな銀行
りそな銀行の企業年金業務、確定給付企業年金、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)、企業型確定拠出年金等についてご紹介します。

資料の中で一番端的にモータリゼーションについてわかるのが次の表だったので、これを抜粋して掲載します。

経済発展段階別の特徴(りそな銀行「エマージングにとって一人当たりGDP3,000ドルの壁~タイの教訓~」より抜粋)

端的に言うと、一人当たりGDPが$ 1,000~3,000を境にモータリゼーションが進むという意味だと捉えられると思います。

私が過去に聞いた「一人当たりのGDPが$ 3,000を境にモータリゼーションが進む」というのは間違っていなかったと考えてよさそうです。

「モータリゼーション」というのは、ある程度の所得を得られるようになると、その社会の中で自動車が普及し始めるということで、これによって都市化や職場と居住エリアの分離といった先進国では当たり前の生活スタイルや考え方が浸透していくのだとか。

また、これに伴い公害や都市の過密化なども加速していくそうです。

ベトナムの一人当たりGDPの推移を見る限り、モータリゼーション化は始まったばかり・・・かも?

ベトナムの自動車販売台数が増えているということは冒頭で述べましたが、客観的にモータリゼーション化が進んでいると言えるのでしょうか?

それには、ベトナムの1人あたりGDPの推移を確認してみればよいはず。

探してみたところ「世界経済のネタ帳」というサイト様でベトナムのデータが掲載されていましたので、こちらを参照させていただきます。ちなみに、データの出典はIMFのデータのようです。

ベトナムの一人当たりのGDPの推移 - 世界経済のネタ帳
ベトナムの一人当たりのGDPの推移をグラフ及び時系列表にて掲載しています。
ベトナムの一人当たりGDPの推移(「世界経済のネタ帳」様掲載のデータより)

このデータによると、実は2017年で一人当たりGDPはほぼ$ 3,000に到達していました。(厳密には2017年の一人当たりGDPは$ 3,000よりも若干低いくらい)

つまり4年前にはモータリゼーション化の閾値を超えていて、いままさにモータリゼーションが加速している真っ最中ということになりますね。

そういうことがわかると、冒頭の自動車販売台数のデータについても納得が行きますね。

現在はコロナ禍の真っ最中。ベトナムも今年の春先から徐々に増え始め現在大変な状況にあります。

ようやくワクチンが出てきて、何とか持ちこたえることができれば、再びモータリゼーション化の加速が続くのではないかと考えています。

モータリゼーション化の恩恵としては、単に車が売れるということだけではなく、上述したとおり急激な都市化も進むということですので、公共工事などで経済も刺激される方向に動くのではないかと考えています。

そして、2017年を境に始まったモータリゼーション化はまだ10年くらいはこのままの調子で続くのではないかなぁと楽観視しています。(現時点で確たる根拠はありませんが(^^;)

まとめた内容をA4一枚の書面に

以上の内容をA4一枚の書面にまとめました。

毎度のことながら内容はちょっと薄いですが、書面にて参照されたい方はご活用ください(^^ゞ

まとめ

ベトナムにおける自動車販売台数のニュース記事を元にベトナムのモータリゼーション化に関する情報をまとめてみました。

いまの日本では既に当たり前となっている自動車ですが、ベトナムではまだまだ高嶺の花といった感じがありますね。

極論すると自動車は単なる交通手段ではあるのですが、これが普及すると社会には大きな変化をもたらすことになるみたいです。私自身、それほど気にせず生きてきましたが、今回りそな銀行の資料を読んでいて改めてそう認識させられました(^^ゞ

ベトナムにおける自動車にまつわるニュースについては引き続きウォッチしていきたいと思います。

小ネタについてはTwitterにて情報共有をしつつ、経済的な影響のある内容についてはブログ記事にして考察をしていきたいと思いますので興味のある方は引き続きよろしくお願いします。

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